登大路・至高のひと皿

『大先輩へのオマージュを込めて』
3種の野菜のジュリエンヌと
毛蟹のユニゾン
すべてをおだやかな酸味がつなぐ

関西では蟹と言うと松葉蟹を連想される方が多いですが、細かい毛にびっしり覆われた、見るからに不敵な面構えの毛蟹も私は大好きです。主に脚肉と抱き身を使いますが、いずれも繊維が細いので口当たりがなめらか。蟹特有の臭みがなく甘みが濃い。良いことづくめのようですが、身の入り具合が捌いてみないとわからない点は料理人泣かせです。松葉蟹に比べると食べられる部分も少なく、実は高級食材です。

活けの毛蟹はボイルし、身をていねいに取り出します。タネと皮を取り除いたキュウリ、アンディーブ、セロリを同じサイズになるようにジュリエンヌ(千切り)。塩・コショウと赤ワインビネガーで和えて型に敷き詰めます。その上に自家製マヨネーズでドレッシングした毛蟹を重ね、空気を抜く感じでなじませます。塩で味を調えた8分立ての生クリームで表面を覆います。

12月からのディナーコースでは2品の前菜をご用意していますが、この料理はそのひとつ。基になっているのは、半世紀にわたって関西フランス料理界を牽引して来られた、尊敬する三浦 潔シェフのスペシャリテです。大先輩へのオマージュを込めて、トップにクリスピーな食材を散らす独自のアレンジを加えました。ベースに敷いたサクサクのパイ生地にナイフが入る瞬間、野菜やナッツを噛み砕く瞬間、様々な音にも着目していただければと思います。

付け合わせにキューブ状にカットしたフォワグラのソテーを並べ、マデラ酒とフォンドヴォーで仕立てるコク深いソースを回しかけます。全体を取り持つのは、野菜や毛蟹の甘みの合間に見え隠れする、ビネガーのやわらかな酸味。温かなフォワグラとキリッと冷やした毛蟹のコントラストと、双方の風味が混ざり合うことで生まれる玄妙な味わいも計算済みです。パイ生地になじませてお召し上がりください。


※「毛蟹のタルトフレッシュとフォワグラのソテー」は12月~2月のディナーメニュー、Menu Specialite 18,000円(22,356円)の一皿としてご用意しております。
※( )内の料金は税金・サービス料を含みます。
※食材の入荷の都合上、メニューを変更することがございます。予めご了承ください。

① 活けの毛蟹は沸騰した湯に入れ、20分ほどかけて火を通す。ゆであがったらブラストチラーに入れて締め、身を取り出す。
② タルト型にキュウリ、アンディーブ、セロリなどの野菜を敷き詰め、その上から①の毛蟹を詰める。隙間を埋めるように生クリームでデコレート。
③ キューブ上にカットしたフォワグラに塩、コショウをして、油をひかずにフライパンで全面をカリッと焼き上げる。
④ ローストしたカシューナッツ、竹炭入りのパンで作るクルトン、トマトなどをあしらい、フォワグラのソテーを添える。

総料理長 仙石 耕一

フランスで三つ星レストランでの研修の後、くろよんロイヤルホテル料理長、リーガロイヤルホテル(大阪)レストランシャンボール スーシェフを歴任。

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