登大路・至高のひと皿

『伝統への回帰』
シンプルだからこそ、素材が際立つ
焦がしバターをレモン果汁でさわやかに

舌平目はヨーロッパでもよく食べますが、なかでもイギリスとフランスを隔てるドーバー海峡に面したイギリスの漁港・ドーバーで揚がる、身の締まった大物は「ドーバーソール」と呼ばれる高級品。年々、その希少性は高まっているようです。日本では、瀬戸内海や泉州沖、九州などが主な産地で、30cm前後のものが高級品として扱われます。

舌平目は海底に潜み、小さなエビ類や貝などを食べています。そのため、昔は少し泥臭さを感じる時もありましたが、今はとても良い状態の舌平目が揚がるようになりました。海が清浄化された証拠かもしれません。そんな喜びも込め、今回はクラシックな調理法であるムニエルをグルノーブル風でお楽しみいただきます。

“ムニエ”はフランス語で粉職人や粉屋を意味します。“ムニエル”はその女性名詞で、正式には“ア・ラ”がつくため、“粉屋の女将(娘)さん風”と訳すことができます。下味をつけた魚にたっぷりの小麦粉をまぶして焼くのですが、この粉がバターソースに溶けて、味と食感の主役になります。

フライパンにオリーブ油とバターを入れて熱し、舌平目の身が厚い方、盛り付ける時に上になる方から焼いていきます。一般的には、そのままひとつのフライパンで仕上げますが、それでは雑味が残るので、私は別のフライパンにブール・ノワゼット(焦がしバター)を作り、両面をパリッと仕上げた舌平目を移します。バターで煮る感覚でソースをかけ続け、サービスする時に身離れが良いよう、骨の際までしっかり火入れしていきます。

たっぷりのレモン果汁とケッパーを加えるのがグルノーブルスタイル。酸味を軽く飛ばしたらパセリを飾り、お客様の目の前で身を外して、フォンドヴォーのコクを少し添えて盛り付けます。ケッパーとレモンの軽やかな酸味がアクセントのソースとふわふわの舌平目、バターの芳醇な香りが、冷えた白ワインやシャンパンを誘うひと皿です。

① フレッシュで肉厚な舌平目と茹でたジャガイモ、レモン、無塩バター、ケッパーにパセリ。材料はとてもシンプル。
② 舌平目の皮を剥く。新鮮なものほど剥きにくいが、フランスでは指先に塩を少しつけて行う。小骨が多いエンガワは除いておく。
③ ②に小麦粉をたっぷりつけてよくはたき、バターで香ばしく焼いたら、別鍋に作るブール・ノワゼットに移し、表面がカリッとなるように焼き込む。
④ 仕上げにレモンを絞り、ケッパーを散らす。フォンドヴォーのコクを添えて、お客様の目の前で取り分ける。




※「舌平目のムニエル グルノーブル風」は3月~5月のディナーメニュー、Menu Specialite 18,000円(22,356円)の一皿としてご用意しております。
※( )内の料金は税金・サービス料を含みます。
※食材の入荷の都合上、メニューを変更することがございます。予めご了承ください。

総料理長 仙石 耕一

フランスで三つ星レストランでの研修の後、くろよんロイヤルホテル料理長、リーガロイヤルホテル(大阪)レストランシャンボール スーシェフを歴任。

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