登大路・至高のひと皿

Vol.14 国産活イセエビのグラタン “テルミドール”

『古典料理を時代に合わせて軽やかに』
クリーミーなソースと的確な火入れで
イセエビのポテンシャルを引き出す

秋から冬にかけて旬を迎えるイセエビは、神事や正月、婚礼の場を飾る食材として、日本人の暮らしに深く結びついています。地名が学名にもなっている、海の幸のなかでは珍しい存在ですが、江戸時代は、鎌倉で獲れたものは鎌倉海老、志摩で獲れたものは志摩海老と呼んでいました。現在はイセエビで統一されています。千葉県から鹿児島県にかけての太平洋沿岸が主な漁場。養殖技術が確立されていないため、すべてが天然モノです。

フランス古典料理のひとつである“オマール海老のテルミドール”は、19世紀末にパリの有名レストランで創作されました。コメディ・フランセーズ劇場のこけら落としに上演された出し物に因んで命名されたと言われています。その料理法が日本にも伝わり、イセエビで作られるようになりました。

外洋の荒波に揉まれて育つイセエビの身は甘く、ほど良い繊維感が楽しめます。なかには40cm近い大きさに成長する個体もありますが、身の詰まり具合や味の点からすると20cm前後がベストです。造りにできるぐらい新鮮な活イセエビをブイヨンでボイルすると甘みが増し、ふっくらジューシーな食感に変わります。火を入れすぎるとパサパサに、逆に火入れが足りないと水っぽくなるイセエビは、ていねいな火加減が功を奏す食材。つきっきりで火加減を調整して仕上げます。

茹であがったイセエビは、食べやすいようひと口大にカットして殻に戻します。ベシャメルソースにグリュイエールチーズ、イセエビのミソを隠し味に加えたソースを流しかけ、表面を香ばしく焼き上げます。バターでソテーしたオニオンとマッシュルーム、チーズが香るこのソースは、小麦粉は控えめに。現代人の好みに合うようサラッと仕上げていますのでとても軽やか。イセエビの繊細な風味を引き立てます。「クラシックなレシピ=重厚」という、テルミドールのイメージを良い意味で裏切るひと皿です。

※「国産活イセエビのグラタン“テルミドール”」は9月~11月のディナーメニュー
Menu Specialite 18,000円(22,770円)の一皿としてご用意しています。
※(  )内の料金は税・サービス料を含みます。
※食材の入荷上の都合上、メニューを変更することがございます。予めご了承ください。

★以下では11月のMenu Specialiteコースのお料理の一部をご紹介いたします。

①「鮑と鱧の焼霜造り エシャロットのアペティ キャビア添え 奈良県産古代米と十津川村上湯川産なめこのサラダ 大和きくなのクーリーと共に」
和食の調理法「焼霜造り」を取り入れたオードブル。まろやかな大和まなのソースが引き立て役になっています。
②「カマスと帆立貝ムースと松茸のセルクル 結崎ネブカ ビーフコンソメのポトフ仕立て」
秋の味覚の代名詞である松茸と、奈良の食材「結崎ネブカ」とを合わせた一皿。コンソメスープもすっきりとした味わいです。
③「黒毛和牛フィレ肉のグリエ 赤ワインソース 大和いもとセープ茸のリソレ」
柔らかく旨みの強いフィレ肉は、赤ワインソースとの相性も抜群です。
④「奈良県産柿のミルフィーユ仕立て ラム酒薫るアイスクリーム」
旬の柿を使ったデザート。スタイリッシュに盛り付けます。

総料理長 仙石 耕一

フランスで三つ星レストランでの研修の後、くろよんロイヤルホテル料理長、リーガロイヤルホテル(大阪)レストランシャンボール スーシェフを歴任。

> スタッフ紹介詳細ページ