登大路・至高のひと皿

高級魚、脂の乗った桜マスを
繊細に火入れして、しっとりと
甘み、酸み、苦みの要素をちりばめて

北海道から青森にかけての日本海側で春に水揚げされる、桜マスの別名でも親しまれている本マスは鮭の仲間。川で孵化(ふか)し、その後、海に下るものが桜マスで川に残るものをヤマメと呼び分けます。産卵場所となる川の環境破壊が進んでいるため、近年は漁獲高が激減し、高級魚になっています。

品の良い脂を持つ桜色の身を厚みが均一になるよう色紙型に切り出し、加熱したソミュール液を流しかけて冷まします。ソミュール液とは、スパイスや砂糖などを混ぜた塩水のことで、味を入れると同時に余熱で中までやさしく火を通し、しっとりとした食感に仕上げるための大事な手法です。

桜マスには、キャビアをたっぷりトッピング。ブランダードで覆います。このブランダードは、桜マスの身、茹でて裏ごししたジャガイモ、味のポイントになるニンニクのピュレなどを加えて作るペーストのことです。さらにその上から、香味野菜をじっくり煮出したブイヨンとマヨネーズで作るソースをかけ、冷やし固めます。仕上げに、ピンクペッパーとディルなどを飾り、野菜ブイヨンのジュレを再び全体にかけて冷やし固めます。

この温めたソースをかけては冷やし固める動作、つまりショー(熱い)とフロア(冷たい)を繰り返すことが料理名の由来。古代ローマにも似たルセットが存在していたと言われるぐらい歴史があります。逆に古典的過ぎて作る機会がなかったのですが、数年前に考えを改めました。それは、帝国ホテルの2代目総料理長・田中健一郎さんが作られた、ラングスティーヌのショーフロアがあまりに美味しかったので、実は奥の深い料理だと気付かされました。

色鮮やかなソースの主材は、日本固有の柑橘である大和橘のコンフィチュール。昨秋に収穫後、塩蔵(えんぞう)しておいたものを塩抜きしてソースに仕立てました。甘酸っぱさや塩味の中にほのかな苦みも感じるソース、食感がリズミカルな春の野菜、のど越しの良い桜マスとのコンビネーションをお楽しみください。

※「桜マスのショーフロア ブランダードとキャビア 大和橘のコンフィチュール 緑の旬野菜と共に」は3月~5月のディナーメニュー Menu Specialite 18,000円(22,770円)の一皿としてご用意しています。
※(  )内の料金は税・サービス料を含みます。
※食材の入荷の都合上、メニューを変更することがございます。また、3日前までにご予約をお願いします。

総料理長 仙石 耕一

フランスで三つ星レストランでの研修の後、くろよんロイヤルホテル料理長、リーガロイヤルホテル(大阪)レストランシャンボール スーシェフを歴任。

> スタッフ紹介詳細ページ