登大路・至高のひと皿

『夏の魚と野菜の共演』
世界三大スープのひとつ、
ブイヤベースをソースに野菜の甘みの奥にある魚の旨みが味の決め手

フランスの港町・マルセイユでは、あちこちにブイヤベースの専門店があります。それらの店で提供されている素朴なブイヤベースが欧州各地に伝わり、レストランで提供される洗練された一品になりました。私が働いていた、リーガロイヤルホテル(大阪)「レストラン ボーリバージュ」でもブイヤベースは人気の料理。毎日毎日、大量に仕込んでいたことが懐かしく思い出されます。

ブイヤベースの味を左右するのは、フュメ・ド・ポワソン。水にさらしてからオーブンで香ばしく焼いた鯛のアラに、玉ネギやポロ葱などの香味野菜を散らし、そのアロマを移すために再度火を入れます。寸胴鍋に移して、白ワインで蒸し焼きにしたら、水を注いで約1時間。弱火でじっくり煮込みます。その後の過程も大切で、まずは目の粗いザルで鯛や野菜をザっと濾し取ります。その後、目の細かいシノワで自然に水分が落ちるのを待たねば、クリアなフュメにはなりません。

次に、少しのサフランと香味野菜をオリーブ油でじっくり炒めて、香りを立たせます。約30分、焦げないようにつきっきりで火を通したら、湯むきして種などを除き細かく刻んだ完熟トマトを加え、水分がなくなるまで煮詰めます。そこにフュメ・ド・ポワソンと残りのサフランを加え、仕上げにペルノ(香草風味のリキュール)を振りかけ、ようやくブイヤベースは完成します。

スープはもちろん、煮詰めればソースや、時には隠し味の役目も果たします。今回は少し濃度をつけ、ペースト状の赤トウガラシを卵黄やマスタードで乳化させるルイユで、ピリっとした辛味をほんの少しプラス。素揚げしてとろける食感にした大和丸なす、レア感が残るスズキ、クリスピーな穴子のフリチュールにぴったりのソースに仕立てました。野菜の甘み、海の幸の旨みが溶け込んだ芳醇なソース。最後の一滴まで味わっていただきたいので、スプーンも添えてサービスします。

※「軽く炙ったスズキの薄切り 穴子のフリチュール 大和丸なす ブイヤベース仕立て」は8月のランチメニュー4,000円(4,968円)、及び6,000円(7,452円)のひと皿としてご用意しております。
※( )内の料金は税金・サービス料を含みます。
※食材の入荷の都合上、メニューを変更することがございます。予めご了承ください。

①ソースのベース、味の決め手になるフュメ・ド・ポワソンの主な材料は、真鯛のアラ、セロリ、ポロ葱、玉ネギなど。
②泉州沖で獲れる、ビリ穴子と呼ばれる肉質やわらかな小ぶりの穴子に小麦粉を薄くつけて揚げる。カリッとした食感のフリチュールに。
③薄切りにしたスズキはサラマンダーに入れ、表面に焼き色をつけ、中心部はレア感を残すように炙る。
④大和丸なすの上に、スズキを重ね、穴子のフリチュールをあしらう。温めたブイヤベースソースを回しかける。

総料理長 仙石 耕一

フランスで三つ星レストランでの研修の後、くろよんロイヤルホテル料理長、リーガロイヤルホテル(大阪)レストランシャンボール スーシェフを歴任。

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