登大路・至高のひと皿

Vol.6 シェフ仙石のスペシャリテ 夏が旬。“貝の王様”の旨みを塩の衣で閉じ込めて

『旨み深く、彩りもあざやかに』

海の恵みを存分に
生け鮑の粗塩包み焼き トマトフォンデュとブルゴーニュ風バターソース

紀伊半島や五島列島、房総半島、日本海など、鮑は日本各地で獲れるため、漁場や種類によって最旬期が少しずつ異なりますが、一般的な旬は4月の終わりごろから10月ごろにかけて。鮑は冬に産卵し、その後、好物である昆布などをもりもり食べて身を肥らせます。身の厚みが数センチ以上もある鮑に育つ、春以降が食べごろです。

古来より神饌にも用いられてきた鮑は憧れの高級食材で、その名を聞くと心が踊ります。ですから、今回は料理をスタートさせる前、テーブルまで殻付きの鮑をお持ちし、その生きの良さをお客様ご自身でお確かめていただく趣向にいたしました。

塩が直接つかないようにするためと、磯の香りを加えるため、鮑はトサカなどの海藻で蓋をします。貝殻が上になるようひっくり返し、粗塩と水を練り混ぜて作った“衣”でしっかり包み、オーブンへ。15分ぐらい焼いた後、さらに火入れ加減、焼き加減を調整するために5分寝かせます。

キャセロールごとワゴンに乗せて客席へ。お客様の目の前で切り分けてから盛り付けまでさせていただく、デクパージュサービスもお楽しみください。塩の衣を割り、鮑を殻から外して切り分けます。
ソースは、良く熟したトマトを煮込んで作る夏の味、フォンデュ・ド・トマトを選びました。これは完熟のトマトとニンニク、玉ねぎをオリーブオイルでソテーしてから、トマトの水分を飛ばすように弱火でじっくりと1時間ほど煮込みます。旨みと甘みが凝縮したソースを皿に敷き、その上に切り分けた鮑と肝を盛りつけ。さらに、私がお世話になったレストランがあるブルゴーニュ地方の名物料理、エスカルゴに欠かせないバターソースを加えてコクを深めました。ニンニクとパセリの香りが食欲をそそる、色も美しいソースです。

鮑は生で食べるとコリコリした食感ですが、火を入れることでムッチリ、弾力性のある歯ごたえに変わります。旨みも火を入れることで豊かになります。鮑とトマト、香草バターのハーモニーをお楽しみください。

  • 1
    オーブンから出して、少し休ませた鮑をワゴンに乗せてお客様のテーブルへ。カトラリーで壁を崩すように軽く叩き、衣を割ります。
  • 2
    塩の衣が全て割れたら、下向きになっていた殻付きの鮑をひっくり返し、蓋の役目をしていたトサカなどの海藻を外します。
  • 3
    肉厚、弾力性の鮑を一口大に切り分けます。鮑の大きさにもよりますが、1個をお二人でシェアいただくので、食べ応えも十分です。
  • 4
    トマトフォンデュを敷いた皿に鮑と肝を盛り、緑色あざやかなブルギニョンバターを垂らしてお召し上がりいただきます。

生け鮑の粗塩包み焼き
トマトフォンデュとブルゴーニュ風バターソース

ディナーコース 18,000円(22,356円)

※食材入荷の都合上、3日前までにご予約をお願いいたします。
(ご相談承ります)