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【綴る奈良vol.8】金魚のいる城下町 大和郡山

郡山城天守台からの城下と奈良市内を望む

郡山城天守台からの城下と奈良市内を望む

 

「幻の天守」が発見された天守台

 

奈良市の西南に位置する大和郡山市は、郡山城を中心に発展した城下町です。1580年に戦国大名・筒井順慶によって築かれた城は、豊臣秀吉の弟・秀長によって大きく拡張整備されました。1724年に入城した柳沢家の治世は6代約150年間続き、藩主の庇護のもと、赤膚焼や金魚の養殖など大和郡山を代表する文化的産業が育ちました。

 

近鉄郡山駅前の商店街からDMG MORIやまと郡山城ホールへ向かう途中の踏切を西に渡り、お堀と石垣のある坂道をのぼります。天守台への近道は、道なりにまっすぐ進んだ郡山高校正門前の柳沢神社の鳥居を城内へ。美しく整備された天守台の展望デッキからは、若草山や三輪山など奈良盆地を囲む山々を見渡すことができます。2014年から4年間行われた調査では、関ケ原の戦い以後解体されたままになっていた「幻の天守」の遺構が発見されました。金箔をほどこした瓦なども出土したことから、秀吉好みの絢爛豪華な天守閣が聳えていたのではないかと考えられています。天守台には石仏や石塔などが多数転用されており、今も天地が逆のままの「さかさ地蔵」を覗くことができます。

 

整備された郡山城天守台(「さかさ地蔵」は写真左下の天守台下部に)

整備された郡山城天守台(「さかさ地蔵」は写真左下の天守台下部に)

 

箱本十三町と金魚

 

近鉄郡山駅とJR郡山駅に挟まれた1キロ四方ほどのこじんまりとしたエリアが、郡山城の城下町にあたります。町の骨格を整備した豊臣秀長は、「箱本(はこもと)十三町」という13の自治組織をつくり、免税などの特権を与えて商業を活性化させました。堺町や今井町など出身地ごとに集められた町名、豆腐町や茶町、材木町など商いごとに集められた町名が、今もほぼ当時のまま残ります。道路中央に水路のある紺屋町は、染物屋さんが集まっていた町。現存する市内最古の町家を改造した「箱本館『紺屋』」では、藍染め体験ができるほか、金魚にまつわる約1000点のコレクションの一部が公開されています。

 

紺屋町では1年中できる金魚すくいや藍染め体験施設がある(1)紺屋町では1年中できる金魚すくいや藍染め体験施設がある(2)紺屋町では1年中できる金魚すくいや藍染め体験施設がある(3)

紺屋町では1年中できる金魚すくいや藍染め体験施設がある

 

16世紀初頭に中国から輸入されたといわれる金魚は、江戸時代に入って高級愛玩動物として人気を博すようになります。大和郡山では江戸中期から武士の内職として飼育されていましたが、明治維新後には「最後のお殿様」柳澤保申(やすのぶ)侯の援助もあり、職を失った武士や農家の副業として盛んに飼育されるようになりました。20世紀のはじめにアメリカの博覧会に出品するなど品種改良もめざましく、大和郡山の代名詞となる産業に成長しました。

 

近鉄郡山駅南西の新木(にき)町周辺には、今も金魚の養殖池が一面に広がり、「郡山金魚資料館」では、珍しい金魚や金魚に関する古書・錦絵などの資料が展示され、実際に金魚を購入することもできます。また、毎年4月に金魚品評会が、8月には全国金魚すくい選手権大会が行われるなど、「金魚のふる里」として様々なイベントを開催しています。

 

義経ゆかりの白狐と旧花街

 

近鉄郡山駅とJR郡山駅を結ぶ商店街の中ほど、大通りのすぐ西の路地を南へ入った洞泉寺(とうせんじ)町は、花街の風情を残すしっとりとしたエリアです。格子の美しい3階建の旧川本邸は、「町家物語館」として開放されています。

 

古典芸能の演目「義経千本桜」に出てくる源九郎狐は、源九郎稲荷神社に由来するといわれており、歌舞伎役者を始め芸能関係者が公演の成功を祈ってお忍びで訪れることも多いのだとか。毎春開催される「お城まつり」では、愛らしい狐のお面をかぶった子どもたちの「白狐渡御(びゃっことぎょ)」行列が市内を練り歩きます。

 

「義経千本桜」ゆかりの源九郎稲荷神社(1)「義経千本桜」ゆかりの源九郎稲荷神社(2)

「義経千本桜」ゆかりの源九郎稲荷神社

 

格子模様が各階ごとに違う「町家物語館」(旧川本邸)(1)格子模様が各階ごとに違う「町家物語館」(旧川本邸)(2)

格子模様が各階ごとに違う「町家物語館」(旧川本邸)

 

祈りのみち、矢田丘陵

 

近鉄郡山駅から直線で真西に4キロほどの矢田丘陵のふもとに、「あじさい寺」で知られる矢田寺(金剛山寺)があります。高低差のある広い境内に咲きほこる色とりどりのあじさいは、数十種類・約1万株。本尊をはじめ数多くの重要文化財が残っており、阿弥陀如来に似た独自のスタイルを持つ地蔵菩薩は、「矢田のお地蔵さん」として親しまれています。

 

1万本株ものあじさいが境内を埋め尽くす矢田寺(金剛山寺)

1万株ものあじさいが境内を埋め尽くす矢田寺(金剛山寺)

 

奈良盆地の北西に位置する矢田丘陵は、南北に伸びる標高200~300メートルほどの丘陵です。斑鳩町にある法隆寺から、厄除けで有名な松尾寺、矢田寺、バラの美しい奈良市の霊山寺(りょうせんじ)まで、1300年の歴史を誇る寺院が人里を見守るように南北に点々と連なり、信仰の対象とされてきました。

 

矢田寺から郡山駅に向かう途中に位置する大和民俗公園には、重要文化財を含む15棟の古民家が移築されており、園内にある県立民俗博物館とともに昔のくらしに思いをはせることができます。

 

実際に使われていた古民家15棟が移築されている大和民俗公園(1)実際に使われていた古民家15棟が移築されている大和民俗公園(2)

実際に使われていた古民家15棟が移築されている大和民俗公園

 


 

登大路ホテル奈良からのアクセス

近鉄郡山駅までは近鉄奈良駅から大和西大寺駅経由、橿原線で約8分

 

郡山天守台

 

箱本館「紺屋」

  • http://www.hakomoto.com/index.htm
  • 大和郡山市紺屋町19-1
  • 開館時間9時から17時
  • 休館日毎週月曜(祝日の場合は翌平日)と年末年始ほか
  • ※藍染め体験は要予約

 

郡山金魚資料館

  • http://kingyoen.com/jp/about.html
  • 大和郡山市新木町107
  • 開館時間9時から17時
  • 休館日毎週月曜(祝日の場合は営業)
  • 近鉄郡山駅から南西へ徒歩約15分

 

矢田寺(金剛山寺)

 

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園

  • http://www.pref.nara.jp/1508.htm
  • 大和郡山市矢田町545
  • 民俗博物館9時から17時(休館日は毎週月曜(祝日の場合は翌平日)と年末年始)
  • 大和民俗公園古民家見学は9時から16時(月曜休)、民俗公園は終日入園可能
  • 近鉄郡山駅から奈良交通バス「矢田寺前」あるいは「大和小泉駅東口」行きで
  • 「矢田東口」下車、北へ徒歩約10分 ※大型駐車場あり

 

大和郡山市観光協会

http://www.yk-kankou.jp/spot.html

 

全国金魚すくい選手権大会

https://www.city.yamatokoriyama.nara.jp/kankou/event/kchamp/

 

※2018年5月現在の情報です