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【綴る奈良vol.18】奈良の節分会

金峯山寺の節分会 写真:松本純一

金峯山寺の節分会 写真:松本純一

 

春を迎える節目の行事

 

節分とは、もともと季節の移り変わるとき、つまり立春、立夏、立秋、立冬の前日のことを指しますが、とくに立春の前日、毎年2月3日頃に社寺や各家庭で行われる行事を「節分会」「追儺(ついな)」「鬼やらい」などと呼ぶようになりました。追儺は古く宮中で行われていた大晦日に悪鬼を追い払う行事で、近世以降、民間に広まって、鬼を追い、豆をまき、邪気を払うという流れが定着したようです。奈良県各地には独特の節分行事の伝わる場所が数多く残っています。

 

「福は内、鬼も内」 金峯山寺の節分会

 

桜の名所として名高い吉野山の中核をなすのが、東大寺大仏殿に次ぐ木造大建築の蔵王堂をランドマークとする金峯山寺(きんぷせんじ)です。金峯山とは、吉野山から大峰山山上ヶ岳一帯を指す古代からの聖域のこと。修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が開いた金峯山修験本宗(きんぷせんしゅげんほんしゅう)総本山である金峯山寺では、大峯修行にまつわる様々な年間行事が行われます。節分会はこのなかでも三大行事の一つに数えられる重要な行事です。

 

金峯山寺の節分会の最大の特徴は、「福は内、鬼も内」と唱える「鬼の調伏式」が行われることです。蔵王堂の境内では、暴れまわる鬼たちが、経典や法力などによって、次第に仏道に導かれてゆくさまが演じられます。この風変わりな行事は、役行者に付き従っていたのが、前鬼(ぜんき)後鬼(ごき)という夫婦の鬼であったという言い伝えに由来するといわれています。「鬼」とはなにか、身近な「鬼」とどう向き合うか、そんなことを考えさせてくれる金峯山寺の節分会です。

 

毘沙門天や大黒天も登場 興福寺の鬼追い式

 

興福寺の追儺会に登場する鬼と大黒天 写真:松本純一(1)興福寺の追儺会に登場する鬼と大黒天 写真:松本純一(2)

興福寺の追儺会に登場する鬼と大黒天 写真:松本純一

 

2018年秋、約300年ぶりの中金堂(ちゅうこんどう)再建を果たした興福寺では、三匹の鬼が登場する追儺会が行われます。登大路ホテル奈良から徒歩数分の東金堂(とうこんどう)では、無病息災や延命長寿の薬師悔過(やくしけか)法要に続き、前庭に設けられた舞台で三匹の鬼が毘沙門天と激しい戦いを繰り広げ、やがて退治される鬼追い式が始まります。参拝者に福を授けてくれるのは、ふくよかなお顔の大黒天。福豆は、鬼追い式のあとに配布してもらえます。

 

華やかな豆まきと豪快な大護摩供 元興寺の節分会

 

元興寺の華やかな豆まき

元興寺の華やかな豆まき

 

奈良町の中心にある元興寺では、本堂内陣で年越しの厄除け祈願が行われたあと、年男年女だけでなく、ミス奈良やゆるキャラたちが豆まきをする、華やかな節分会が開催されます。「ガゴゼ」と呼ばれる鬼の伝説が伝わる元興寺では、「鬼は自分の内から出るように」との願いをこめて、「福は内、鬼も内」と呼ぶようにしています。豆は豆まきですべてまかず、あとで一人一人に配付されます。

 

また、境内ではこの日、炎の中に不動明王を勧進して祈祷をする「柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)」と樋渡の修行が行われます。護摩木に書いた願いは、焼いてもらうことで聞き入れられるのだそうです。

 

人気者の鬼がユーモラス 信貴山朝護孫子寺の節分鬼追式

 

信貴山朝護孫子寺の節分大法要 写真:松本純一

信貴山朝護孫子寺の節分大法要 写真:松本純一

 

聖徳太子が戦勝祈願をした際に、毘沙門天が現れ必勝の秘法を授けたという信貴山(しぎさん)朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)。国宝の信貴山縁起絵巻や張り子の大寅などで有名な古刹です。節分大法要の後、本堂に乱入した大暴れの赤鬼や青鬼は、僧侶や参拝者たちに豆を投げられて宿坊や民家まで逃げ回ることも。退治するために豆を投げているはずの参拝者に触られている鬼は、ひょうきんな人気者のようです。毘沙門天王が鬼たちを退治し、吉祥天女が福豆を授けるという逸話にちなんだ行事が終わるころ、山腹の境内の夜は更けてゆきます。

 

ほかにもこの日、主な社寺の多くで節分会が行われます。奈良の人々が社寺と一体になって受け継いできた季節の節目の行事は、鬼の退治というかたちを取りながらも、どこか祈りに満ちています。

 


 

登大路ホテル奈良からのアクセス

 

金峯山寺

吉野郡吉野町吉野山2498

・近鉄奈良駅から大和西大寺駅と橿原神宮前駅で乗換え、吉野線吉野駅下車
ケーブル運休につき代行バスで金峯山寺前下車

吉野大峯ケーブル自動車株式会社

http://www.yokb315.co.jp/route_bus.php?id=no2

節分会・鬼火の祭典 2019年は2月3日(日)

鬼の調伏式は11時~、福豆まきは13時~

http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/04south_area/kimpusenji/event/w00fwv8wso/

 

興福寺

奈良市登大路町48 登大路ホテル奈良の南東に隣接

追儺会(鬼追い式)2019年は2月3日(日)

18時30頃~(ただし事前に整理券が配付される場合あり)

http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/01north_area/kofukuji/event/wvukfyplqw/

 

元興寺

奈良市中院町11 猿沢池の東端を道なりに南下、約1キロ。徒歩約12分

節分会柴燈大護摩供 2019年は2月3日(日)

12時~15時頃

http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/01north_area/gangoji/event/cwhdfy3yww/

 

信貴山朝護孫子寺

生駒郡平群町信貴山2280-1

・JR近鉄王寺駅北口からタクシーで約4キロ

節分鬼追式 2019年は2月3日(日)

http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/02west_area/shigisanchogosonshiji/event/1drw3eyi1i/

 

※2018年10月現在の情報です。

 

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