螺鈿のいろどり 奈良漆器 北村家の漆芸

~正倉院宝物と北村家~ 天平時代を中心とする美術工芸品の粋を集めた正倉院宝物。その修理や模造復元が本格的に始められたのは、今から約150年前の明治時代初期のことです。近代国家として美術工芸品の保護と制作の奨励をはかった明治政府は、奈良博覧会を開催。正倉院宝物も出陳され、大変な人気を博しました。この頃、修理や復元を通して「奈良漆器」の名前を世に広めたのが、春日大社や東大寺、興福寺の御用塗師を父に持つ吉田立斎(りっさい)です。立斎の弟で、母方の姓を継いだ北村久斎(きゅうさい)もまた、早くから漆芸の道に進み独立、その息子の大通(だいつう)は作家として工芸界にデビューするとともに、正倉院宝物をはじめ當麻曼荼羅厨子の修理など多くの業績を残しました。 連綿と続く漆芸一家に育ち、「螺鈿」の技術によって初めて重要無形文化財保持者、いわゆる「人間国宝」の認定を受けたのが、大通の息子である北村昭斎(しょうさい)氏です。

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究極の筆記用品 奈良墨 松壽堂

~千年以上の時を経て残る墨~ 2018年秋の第70回正倉院展には、墨で描かれた風景がきわやかに残る「山水図」が出陳されました。千年以上の時を経て私たちを魅了する宝物、あるいは仏像や経典さらには木簡や書状など、墨はありとあらゆる歴史的産物に使われ、その年代や内容を私たちに伝えてくれます。現在、日本の墨の9割以上は奈良でつくられています。奈良町の一画にある「松壽堂(しょうじゅどう)」では、伝来の秘法に時代に応じた技術を取り入れながら、墨づくりが受け継がれています。

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茶筌の里―生駒市高山

富雄川(とみおがわ)の最上流に位置し、山里の風情を今に残す生駒市高山(たかやま)町。大阪や京都に隣接する歴史あるこの地に連綿と受け継がれてきたのが、茶道に欠かすことのできない「茶筌(ちゃせん)」づくりです。茶道の創始者は、奈良生まれの村田珠光(じゅこう)。僧であり茶人であった珠光は、高山一帯を治めていた鷹山(たかやま)城主の次男・宗砌(そうせつ)の友人でした。

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奈良の刀匠 月山家

奈良盆地の東縁、「青垣山」と詠われて幾重にも連なる山々の麓に、奈良と三輪を結ぶ古道「山の辺の道」があります。桜井市にある大神(おおみわ)神社から、摂社・狭井(さい)神社の前を過ぎ、石畳になっている山の辺の道を数分歩くと、白壁に囲まれた「月山(がっさん)日本刀鍛錬道場・記念館」に到着します。手前には狭井川が流れ、土手には「三枝祭」に奉献されるささゆりが育てられている静かな場所です。

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