宝山寺獅子閣―宮大工の技が光る洋風客殿

「生駒(いこま)の聖天(しょうてん)さん」の名で親しまれ、現世利益の絶大な信仰を集める宝山寺(ほうざんじ)。標高642メートルの生駒山中腹にある寺の境内には、明治17(1884)年に竣工した瀟洒な洋風客殿「獅子閣」があります。明治政府による迎賓館「鹿鳴館」ができた翌年に獅子閣を建てたのは、宝山寺山主に腕を見込まれた一人の宮大工でした。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
宝山寺獅子閣―宮大工の技が光る洋風客殿

聖徳太子1400年御遠忌

今年2021年は、聖徳太子(574~622)の1400回忌という節目の年にあたります。法隆寺をはじめとする太子ゆかりの寺院では、その遺徳をたたえる荘厳な遠忌(おんき=没後長い歳月を経た年忌法会)が執り行われ、奈良国立博物館ほか多くの施設で特別展が開催されるなど、普段間近にみることのできない寺宝に接する貴重な機会となっています。また入江泰吉記念奈良市写真美術館では、法隆寺昭和大修理の撮影を依頼されたこともある入江による、法隆寺の写真展が開催されます。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
聖徳太子1400年御遠忌

聖武天皇祭・山陵祭

~聖武天皇の御忌法要~ 4月になると、奈良の町のあちらこちらで「聖武祭」と書かれた赤い張り紙を見かけるようになります。毎年5月2日と3日に営まれる「聖武天皇祭」と「山陵祭」は、天平勝宝8(756)年5月2日に崩御した聖武天皇の遺徳を偲んで営まれる御忌法要です。東大寺を建立し、大仏造立の詔を発し、その遺愛の品が正倉院に数多く残される聖武天皇の治世は、地震や疫病にみまわれた多難の時代でした。

続きを読む
  • 行事
  • 散策
  • 文化
聖武天皇祭・山陵祭

南市の初えびす 奈良町のお正月

~めずらしい一月五日の「初えびす」~ 三箇日の賑わいもさめやらぬ1月4日と5日に、奈良町の路地にある小さなお社「南市(みなみいち)恵毘須神社」では「初えびす」が行われます。商いの神様といわれる「えびす様」に招福や商売繁盛を祈り、笹の枝先に縁起物をつけて持ち帰る祭りは関西より西によく見られます。「十日戎」などと呼ばれるとおり、多くは1月10日を中心に行われるのですが、南市の初えびすは「五日戎」とも呼ばれ、一般的なお祭りより早い理由はなぜでしょうか。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
南市の初えびす 奈良町のお正月

宇陀松山のまち並みと現代アート

~万葉集にも詠まれた薬猟の地~ 奈良盆地の東南、桜井市と三重県名張市の間に位置する宇陀市は、菟田野町、大宇陀町、榛原町、室生村の4つの町村が合併して2006年にできた、県内6位の面積を持つ自治体です。市域の西南を占める大宇陀地区は、近鉄榛原駅から宇陀川の流れを7キロほど南へ辿った場所にあり、又兵衛桜や大宇陀温泉あきののゆ、うだ・アニマルパークなど人気スポットの集中するエリアです。

続きを読む
  • 行事
  • 散策
宇陀松山のまち並みと現代アート

転害会 手向山八幡宮御例大祭

~東大寺を守護する八幡神~ 東大寺の境内には大小さまざまな神社が散在し、今も大切に守られているのをご存じでしょうか。明治政府が出した神仏分離令以前の日本には、神社に付属した神宮寺、あるいは寺院をまもる鎮守神のように、ごく自然に神仏習合の信仰が根付いていました。「手向山(たむけやま)八幡宮」もまた、明治以降分離独立することとなりつつも、東大寺とともに歩んできた神社です。その由緒は今から1270年前の天平勝宝元年(749年)、聖武天皇が大仏造立にあたり、現在の大分県から宇佐八幡大神を迎えて東大寺の守護神としたのが始まりといわれ、日本における神仏習合の先駆けでもありました。

続きを読む
  • 行事
転害会 手向山八幡宮御例大祭

真夏の大松明 東坊城のホーランヤ

~巨大松明の豪快な火祭り~ 畝傍山の西へ2キロ足らずの場所に位置する橿原市東坊城(ひがしぼうじょう)町。室町時代から今に残る古い地名であるこの地で、毎年8月15日に行われる豪快な火祭りが、「東坊城のホーランヤ」です。奈良県無形民俗文化財に指定されているこの伝統行事には、圧倒的な大きさでありながら、丸みをもったフォルムにどこか愛らしさが感じられる大松明が登場します。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
真夏の大松明 東坊城のホーランヤ

まんじゅうの神様 漢國神社と林神社

~近鉄奈良駅すぐの静かな神社~ 近鉄奈良駅を出て西へすぐ、東西を走る大宮通りと南北に伸びるやすらぎの道の交差点「高天(たかま)」を南に入ってほどなく、建物に挟まれるように「漢國(かんごう)神社」の朱塗りの鳥居が立っています。平城京遷都より100年以上さかのぼる推古天皇元年(593年)、勅命により園神(そのかみ)を、のち養老元年(717年)に藤原不比等によって韓神(からかみ)を祀った、奈良で一番古い神社です。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
まんじゅうの神様 漢國神社と林神社

智恵を授かる 安倍文殊院のお会式

- 安倍氏一族の氏寺として645年に創建 - JRと近鉄が隣接する桜井駅の南口から伸びる並木通りを南下し、国道165号線を越えると、日本三文殊第一霊場として知られる「安倍文殊院」のある小高い丘が右手に見えてきます。南へ下れば飛鳥や多武峰、西へ進めば藤原京へとつながるこの地を本拠としていたのが、遣唐使として海を渡った阿倍仲麻呂や、陰陽師(おんみょうじ)として活躍した安倍晴明を輩出した安倍氏一族です。645年に文殊院にほど近い南西の平地に創建された安倍寺は、金堂や塔、回廊などを持つ立派な伽藍でしたが、兵火などにより廃絶し、今ではその一部が「国史跡 安倍寺跡」に指定され公園になっています。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
智恵を授かる 安倍文殊院のお会式

奈良の節分会

節分とは、もともと季節の移り変わるとき、つまり立春、立夏、立秋、立冬の前日のことを指しますが、とくに立春の前日、毎年2月3日頃に社寺や各家庭で行われる行事を「節分会」「追儺(ついな)」「鬼やらい」などと呼ぶようになりました。追儺は古く宮中で行われていた大晦日に悪鬼を追い払う行事で、近世以降、民間に広まって、鬼を追い、豆をまき、邪気を払うという流れが定着したようです。奈良県各地には独特の節分行事の伝わる場所が数多く残っています。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
奈良の節分会

宝山寺と参道をあるく

近鉄生駒駅から歩道橋を150メートルほど南西に進むと、2018年8月に開業100周年を迎えた生駒ケーブルの鳥居前駅があります。山上にある遊園地のキャラクターにちなんだ愛らしい車両が走るこのケーブルは、生駒山中腹にある宝山寺(ほうざんじ)への参拝客を運ぶために敷設された、日本初の営業用ケーブルです。「鳥居前」という駅名は、1982年まで駅の横にあった大鳥居に由来します。

続きを読む
  • 行事
  • 散策
  • 文化
宝山寺と参道をあるく

日本清酒発祥の地 奈良

人類の歴史と文化の中で、重要な役割を担ってきたお酒。それぞれの国の主食を原料として、気候や風土に根差した独自のお酒が生み出されてきました。日本では遅くとも縄文時代中期に、果実だけでなくデンプンを原料としたお酒が造られていたのだとか。また、穀類や芋類などを口に入れ、よく噛んで発酵させる「口噛みの酒」は、神聖な飲み物として古代の神事で使われることがあったようです。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
日本清酒発祥の地 奈良

金魚のいる城下町 大和郡山

奈良市の西南に位置する大和郡山市は、郡山城を中心に発展した城下町です。1580年に戦国大名・筒井順慶によって築かれた城は、豊臣秀吉の弟・秀長によって大きく拡張整備されました。1724年に入城した柳沢家の治世は6代約150年間続き、藩主の庇護のもと、赤膚焼や金魚の養殖など大和郡山を代表する文化的産業が育ちました。

続きを読む
  • 行事
  • 散策
  • 文化
金魚のいる城下町 大和郡山

奈良の夏祭り―愛宕祭と立山祭―

近鉄大和八木駅の東南に位置する橿原市八木町。奈良盆地を南北に貫く下ツ道(しもつみち)と、東西をつなぐ日本最古の官道・横大路(よこおおじ)が交差し、古くから交通の要衝として知られた町です。お伊勢参りや吉野・大峯への巡礼など、多くの旅人が行き交い賑わった道を、俳聖・松尾芭蕉も歩きました。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
奈良の夏祭り―愛宕祭と立山祭―

三枝祭(さいくさのまつり・ゆりまつり)

春日山を源流とする清らかな川の流れが、古く万葉集にも詠まれている率川(いさがわ)。現在は、大部分が地下水路となってしまいましたが、猿沢池の西南にある小さな石橋「嶋嘉橋(しまがばし)」周辺は、往時を思わせるたたずまいを残しています。さらに猿沢池から西、三条通の一筋南をゆるやかに蛇行する小径の地下には、今も率川がひっそりと流れており、南北にのびる商店街を横切りながら西へ400メートルほど道なりに進み、石柱が残る率川橋跡を抜けると、幹線道路「やすらぎの道」の西に面した神社の玉垣が目に入ります。

続きを読む
  • 行事
三枝祭(さいくさのまつり・ゆりまつり)

薬師寺花会式

平城宮跡の西を南北に流れる秋篠川。川の流れに沿って遊歩道を南へ進むと、「西ノ京」と呼ばれる地域のおちついた景色の先に、三重塔が見え隠れしてきます。近鉄橿原線・西ノ京駅のすぐ東に位置する薬師寺は、白鳳文化の華やかな698年に飛鳥に創建され、710年の平城遷都に伴い現在地に壮大な伽藍を築いたといわれます。古い歴史を持つ薬師寺で、とりわけ大切にされてきた年中行事が、3月25日から7日間にわたって行われる「花会式(はなえしき)」です。

続きを読む
  • 行事
  • 文化
薬師寺花会式

東大寺二月堂修二会(しゅにえ)/ お水取り

平城京の「東」にある「大寺」という意味を持つ「東大寺」は、仏法により国を護ろうと、8世紀半ばに創建された官立の寺院です。登大路を道なりに東へ進み、「大仏殿」の交差点を北に折れて国宝建造物「南大門」をくぐると、前方にそびえ立つ大仏殿を中心にして、広大な敷地に数多くの伽藍が点在しています。

続きを読む
  • 行事
東大寺二月堂修二会(しゅにえ)/ お水取り