夏の東大寺を楽しむ

東大寺講堂の礎石が残る北側から大仏殿を眺める
写真:Photographer MIKI

夏の東大寺を楽しむ

奈良の夏の暑さは格別です。特に主要観光地の多い奈良市中心部は奈良盆地の北に位置し、盆地特有の湿気と高温に夏バテ気味の鹿たちを見かけることもしばしば。一方で奈良公園や春日原生林、寺院のおかげで緑の多い奈良の夏は、一年中で最も生命力あふれる季節でもあります。今回は広大な境内を夏でも楽しく巡ることのできる、朝と夕そして夜の東大寺をご案内します。

朝の東大寺

夏の東大寺大仏殿は、午前7時30分から拝観することができます。登大路ホテル奈良から東大寺南大門までは徒歩で15分ほど。日中の大仏殿参道は観光客で埋め尽くされていることが多いのですが、早朝なら涼しいうちにゆったりとした気分で歩くことができます。大仏殿に入る前に周辺の散策も。大仏殿正面から西側には美しい芝の斜面が広がり、ここから見上げる大仏殿は荘厳のひとことです。金色の鴟尾(しび)は朝日にかがやき、曇り空には存在感を増します。大仏殿の北西には大仏池があり、運がよければ鹿たちの水浴びが見られるかもしれません。さらに大仏池と大仏殿のあいだを東へのぼってゆくと、石段や土塀の先に二月堂の姿が見えてきます。修二会(お水取り)が行われる二月堂ですが、普段は24時間参拝が可能です。朝のひかりに包まれた奈良の町並みや生駒山は美しいものです。帰りは二月堂の隣にある三月堂から西へ坂をくだり、通称「猫段」を通って大仏殿回廊の東へ。大屋根を目の高さで眺めることができます。

参道を外れると鹿たちものんびり 写真:Photographer MIKI

参道を外れると鹿たちものんびり 写真:Photographer MIKI

昼の東大寺

日差しの強い昼は、数多くの国宝が収蔵されている東大寺ミュージアムや、あるいは少し戻って国立奈良博物館などで過ごす方法もあります(ただし、東大寺ミュージアムは2018年4月16日から9月14日までは、改修工事のため休館)。

東大寺は741年、国家安寧を祈る「国分寺」として建立された寺院です。また、仏教の経典を学ぶ学僧の養成機関でもあった東大寺では、都が京都に遷ったあとも学問寺としての役割が連綿と続いてきました。現在も仏教や文化の講座をはじめ、法話や講演会などが境内各所で定期的に開催されています。申込不要の講演会もあり、1300年近くにわたる東大寺の歴史や文化に気軽に触れる機会が提供されています。

夕日を見るなら二月堂

日帰りの観光客や修学旅行の生徒たちが去り、暑さも少しやわらいでくる頃、近鉄奈良駅周辺より60メートルほども標高の高い二月堂一帯は、夕焼けを浴びてかがやき始めます。夕日が落ちるのは生駒山の向こう。大阪と奈良を南北に隔てる標高642メートルの生駒山は、現存する日本最古の和歌集「万葉集」にも数多く詠まれてきました。万葉集には、大仏殿や二月堂が建立されてから10年も経たない759年頃までの歌が集められています。現在の二月堂は17世紀に再建されたものですが、天平時代の人たちも同じ方角から生駒山を眺め、恋人を想う歌や望郷の歌を詠んだのかもしれません。

二月堂から生駒山に沈む夕日を眺める 写真:Photographer MIKI

二月堂から生駒山に沈む夕日を眺める 写真:Photographer MIKI

大仏さまのお顔が見られる8月15日の「万灯供養会」

毎年8月15日に行われるのが万灯供養会(まんとうくようえ)です。近年、奈良の夏の風物詩として親しまれている「なら燈花会(とうかえ)」が終わった翌日であり、盂蘭盆(うらぼん)の最終日でもあるこの日、大仏殿正面の観相窓(かんそうまど)が特別に開けられ、外からも大仏さまのお顔を拝観することができます。観相窓が開けられるのは、元旦とこの日の年2回のみです。大仏殿のまわりには約2500基の灯籠それぞれに4つの灯りがともされ、午後7時から午後10時までの間参拝することができます。

8月15日に行われる万灯供養会 写真:Photographer MIKI

8月15日に行われる万灯供養会 写真:Photographer MIKI

元旦と万灯供養会の年に2回のみ観相窓が開かれる 写真:Photographer MIKI

元旦と万灯供養会の年に2回のみ観相窓が開かれる 写真:Photographer MIKI

9月17日「踊り納め」の十七夜盆踊り

関西では8月のお盆の時期に開催されることの多い盆踊り。ところが、東大寺二月堂下の広場で毎年9月17日に盆踊りが行われることをご存じでしょうか。観音様のご縁日にあたる旧暦8月17日にちなんで行われ、奈良の盆踊りの「踊り納め」ともいわれる「十七夜(じゅうしちや)盆踊り」です。午後6時の法要のあと、軽快な河内(かわち)音頭と江州(ごうしゅう)音頭が午後9時頃まで踊られます。参加は自由、服装も自由、飛び入りでもかまいません。細長い広場には時間が経つにつれ人々がひしめきあい、踊りの輪は円を描くというより、うねるように進みます。修二会(お水取り)の燃えさかる松明とは趣のちがう、庶民的なエネルギーに溢れた東大寺の珍しい夜が更けてゆきます。

二月堂下の広場で行われる「十七夜盆踊り」 写真:Photographer MIKI

二月堂下の広場で行われる「十七夜盆踊り」 写真:Photographer MIKI

登大路ホテル奈良からのアクセス

東大寺

住所

奈良県奈良市雑司町406-1

アクセス

大仏殿への近道は、ホテルから登大路を奈良県庁側へ渡って東に進み、県庁北東の「登大路町」交差点を東へ渡り、吉城園や入江泰吉旧居など水門町の閑かな町並みを道なりに北へ。

南大門から入る場合は、ホテルから登大路を東へ直進、「大仏殿」交差点を北へ。 どちらの道も1.5キロほど。徒歩約20分。

大仏殿から二月堂までは、いずれのコースも500メートル弱も上り坂。徒歩約5分。

情報

万灯供養会(東大寺大仏殿周辺)
https://narashikanko.or.jp/event/mantokuyoe/ 

十七夜盆踊り(東大寺二月堂周辺)
https://narashikanko.or.jp/event/junanayabonodori/ 

※2018年07月現在の情報です。

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