茶筌の里―生駒市高山

国の伝統的工芸品に指定されている「高山茶筌」

茶筌の里―生駒市高山

茶筌発祥の地

富雄川(とみおがわ)の最上流に位置し、山里の風情を今に残す生駒市高山(たかやま)町。大阪や京都に隣接する歴史あるこの地に連綿と受け継がれてきたのが、茶道に欠かすことのできない「茶筌(ちゃせん)」づくりです。

茶道の創始者は、奈良生まれの村田珠光(じゅこう)。僧であり茶人であった珠光は、高山一帯を治めていた鷹山(たかやま)城主の次男・宗砌(そうせつ)の友人でした。珠光から「抹茶を均一に混ぜる道具」の制作を頼まれた宗砌が考案したのが、茶筌の始まりです。

共存する使いやすさと美しさ

茶筌の製法は鷹山家の秘伝でしたが、のちに16名の家臣にその制作が許され、さらに各家の跡継ぎだけに伝授される「一子相伝」の技法として受け継がれてきました。100年ほど前から、人手不足などによって技法が一般公開されるようになると、茶筌や茶杓などの茶道具、さらには編針などの竹製品は、高山の地場産業となり、1975年に国の伝統的工芸品に指定され今日に至ります。

小刀と指先の感覚で生み出される茶筌

小刀と指先の感覚で生み出される茶筌

茶を点てるための必需品である茶筌は、消耗品としての耐久性と使いやすさに加え、美術品のような美しさを求められることの多い道具です。その種類は、茶道の流派や茶会によって、竹の種類・長さ・太さ・穂数・穂の形・糸の色など、60種類以上にも分かれます。

茶筌の良し悪しをまず決めるのは、竹の質です。養分や水分が少なめの厳しい環境で育った竹の方が、密度の高いしっかりした竹になるのだそうです。ただし、あまりに厳しい環境で育てられた竹は、まっすぐ育たず使えなくなってしまうのだとか。生えてから2~3年の竹を切り出し、油を抜いたあと、しっかりと紫外線をあて寒風にさらす「寒干し(かんぼし)」を行います。その後さらに土蔵で1年以上寝かせ、やっと茶筌に使える「原竹(げんちく)」が出来上がります。

高山町の冬の風物詩「竹の寒干し」

高山町の冬の風物詩「竹の寒干し」

原竹がどれほど優れていても、使いやすく美しい茶筌を生み出すのは茶筌師の腕です。竹の性質を見抜き、小刀などわずかな道具と指先を駆使した繊細な工程が続く茶筌づくりは、一人前になるまで20年を要するといわれています。小さな竹片が茶筌師の手の中で優雅なかたちに生まれ変わってゆくさまは、まるで魔法のようです。特に竹の皮の内側を薄く削り、穂先の薄さを髪の毛より細い0.03ミリに仕上げる「味削り(あじけずり)」という技法は、お茶の味が変わるといわれるほど難易度の高い技法です。

高山竹林園と幻想的な「高山竹あかり」

高山町には、茶筌師の工房や売店が点在していますが、海外の珍しい竹を含む50種類以上の竹が植えられた日本庭園や茶室などを併設した「生駒市高山竹林園」では、定期的に茶筌づくりの実演を見学することができます。資料館には、茶筌・茶道具・編み針などの竹製品などの展示室や売店もあり、さまざまな茶道具や竹製品を買い揃えることもできます。また、お抹茶を点てて飲む「お抹茶体験」のほかに、抹茶味のソフトクリームに地元の有名かきもちをトッピングした「高山ソフト」も人気だそうです。

茶筌はぬるま湯か水に30分から1時間ほどつけ、しなやかにしてから使うのがベスト。気持ちを落ちつけて適量の抹茶を入れてお湯を注ぎ、器に触れるか触れない程度にすばやく茶筌を動かしてお茶を混ぜます。使い終わったら水洗いし、自然乾燥させるだけでかまいません。高山で作られる茶筌は、丁寧に扱えば1日3杯のお茶を点てても1年は十分使えるとのこと。最近ではカフェラテや抹茶ラテに使うなど、自分なりの飲み方を楽しむ人も増えているようです。

2018年で22回目を迎える「高山竹あかり」では、造形作家による竹を使った作品や行燈に灯りが点され、幽玄な風景のなか演奏会や茶会などが行われます。また、近くには本殿が国の重要文化財に指定されている高山八幡宮のほか、毎年3月に茶筌法要が営まれる東大寺別院・法楽寺があり、高山の歴史に触れることができます。

高山竹林園内の茶室

高山竹林園内の茶室

毎年10月初旬に開催される「高山竹あかり」

毎年10月初旬に開催される「高山竹あかり」

登大路ホテル奈良からのアクセス

生駒市高山竹林園

Webサイト

http://www.tikurinen.jp/access

住所

生駒市高山町3440

アクセス

近鉄奈良駅から奈良線富雄駅または近鉄けいはんな線学研北生駒駅で下車、
奈良交通「庄田・傍示行き」バスに乗換え「上大北」で下車、東へ徒歩約5分 ※無料駐車場あり

情報

営業時間 9時~17時(12月27日~1月5日休日)入園無料
※茶筌制作実演は原則毎週日曜日(12月のすべてと1月第1日曜日は休演)

【イベント】高山竹あかり
URL:http://www.tikurinen.jp/event-takeakari 
2018年は10月6日(土) 7日(日) 20時まで開園 入場無料
期間中は生駒駅南口から1時間に1本無料送迎バス運行
※ただし、雨天の場合当日のプログラムが中止になる場合あり

※写真提供 生駒市高山竹林園

※2018年08月現在の情報です。

記事一覧へ