京終界隈 奈良町の南の玄関

2019年春に復元工事を終えた京終駅

京終界隈 奈良町の南の玄関

物流の拠点だった京終駅

登大路ホテル奈良からほぼ真南へ2キロメートル足らず、JR桜井線(万葉まほろば線)の「京終(きょうばて)駅」が開業したのは、現在のJR奈良駅より1年早い1898年。当時は桜井と奈良を結ぶ終着駅でした。奈良町南端に接する一帯は古くから物流拠点としてにぎわい、1919年には東部山間の特産品や物資を運搬するロープウェイ「奈良安全索道」が竣工、その後都祁(つげ)まで延伸し、約17キロメートルを110本以上の鉄柱がつないでいたそうです。

120年前の姿に復元された駅舎

戦後、自動車の普及により奈良安全索道は廃止され、京終駅も1984年には無人駅となりました。開業時に建てられた木造平屋建ての駅舎はいつしか老朽化が進み、一時は取り壊しも検討されました。そのような中、2016年から地元の人たちとJR西日本、奈良市が話し合いを重ね、駅舎を建設当時の姿にする復元工事が決定。2019年2月の開所式典には大勢の人が集い、築120年の駅舎の新たな門出を祝いました。開所にあわせ、一般市民として初めて、地元自治会長が「コミュニティ駅長」に就任したことも話題に。35年ぶりの駅長として、周辺の清掃から観光案内まで、日々奮闘されています。

奈良町の最寄り駅になる京終駅

奈良町の最寄り駅になる京終駅

待合室には寄贈されたピアノが置かれている

待合室には寄贈されたピアノが置かれている

駅舎カフェ「ハテノミドリ」。珈琲を淹れる麻製のフィルターは、店内でも購入できる

駅舎カフェ「ハテノミドリ」。珈琲を淹れる麻製のフィルターは、店内でも購入できる

駅舎カフェ「ハテノミドリ」

駅舎の元駅務室には、観光案内所を兼ねた駅舎カフェ「ハテノミドリ」がオープンしました。木調に整えられた広々とした店内では、電車の発着を眺めながら喫茶軽食が楽しめるほか、麻製品をはじめとする奈良の特産品を現代のライフスタイルに合わせて開発した、上質な製品が数多く揃います。駅舎を運営するのは、地元の若手が中心となって立ち上げたNPO法人。コンサートなどのイベントも不定期で行われています。この土地でくらす人と奈良を訪れる人をむすぶ新たなコミュニティスペースとして、京終駅舎は新たなときを刻みはじめています。

発着する電車を眺めながらゆったりと過ごせる店内

発着する電車を眺めながらゆったりと過ごせる店内

店内には上質な奈良ブランドの製品が並ぶ

店内には上質な奈良ブランドの製品が並ぶ

イゲタ醤油 井上本店

京終駅前から広めの通りをまっすぐ北へ進むと、創業1864年の「井上本店」が目に入ります。夏もひんやりと涼しいレンガ造りの蔵は、京終の往時を彷彿させる大正時代の建物です。国産丸大豆と小麦を原料に、化学調味料や防腐剤をいっさい使わず、天然の蔵付き酵母によってじっくり発酵熟成された醤油や味噌製品をつくっています。
まったりとした中にきりりと引きしまった味わいの濃口しょうゆ、自社製造の甘酒を加えた淡口しょうゆのほか、白和えやシチューにもぴったりの低温熟成白みそなども人気。店内では、お醤油の試食をすることもできます。

余計なものは一切使わない、井上本店の「イゲタ醤油」各種

余計なものは一切使わない、井上本店の「イゲタ醤油」各種

自然の流れの中でゆっくりと発酵熟成させることで、深くまろやかな味わいに

自然の流れの中でゆっくりと発酵熟成させることで、深くまろやかな味わいに

北側にまわると、大正時代に建てられたレンガ造りの蔵が見える

北側にまわると、大正時代に建てられたレンガ造りの蔵が見える

登録有形文化財で味わう、限定焼菓子

井上本店のすぐ北、京終天神社として親しまれる飛鳥神社の交差点を西に曲がると、繊細な出格子に黒壁、二階の白い虫籠窓(むしこまど)が美しい「吉岡家住宅」を見つけることができます。昭和初期に建てられた町家の特徴を伝える主屋と渡り廊下は、2016年に国の登録有形文化財になりました。

ここで、月に2日間だけオープンするのが「焼菓子 京終やまぼうし」です。ヨーロッパの伝統菓子をベースにしたオーナー手作りの焼菓子と、大和高原でつくられた自然農法の和紅茶、三郷町から取り寄せた自家焙煎珈琲などを、中庭のひかりを採り込んだ落ち着きのある和室で味わうことができます。夕方には売り切れになることも多い焼菓子は、テイクアウトも可能です。

登録有形文化財「吉岡家住宅」正面

登録有形文化財「吉岡家住宅」正面

しっとりとした焼菓子のほか、季節によって出されるプリンやアイスクリームも人気

しっとりとした焼菓子のほか、季節によって出されるプリンやアイスクリームも人気

硝子戸の向こうには、調和のとれた中庭と登録有形文化財の渡り廊下が見える

硝子戸の向こうには、調和のとれた中庭と登録有形文化財の渡り廊下が見える

旅行者も参加できる文化空間「京終さろん」

璉珹寺で行われる「京終さろん」に集う人々

璉珹寺で行われる「京終さろん」に集う人々

京終駅から北東へ700メートルほどの場所にある「璉珹寺(れんじょうじ)」。毎年5月に特別開扉される秘仏「女人裸形阿弥陀仏(県指定文化財 阿弥陀如来立像)」で有名です。普段は一般公開されていない夜の境内で、月に1度、奈良の歴史や伝統産業、芸能文化を楽しく学ぶ人たちの集い「京終さろん」が開かれています。講師は有名寺院の僧侶や各分野の研究者だけでなく、古くから奈良町に住む市井の人々などバラエティー豊か。2日前までに申し込みをすれば、旅行者でも快く受け入れてくれます。講座のあとは、膝を突き合わせてのお弁当タイム。奈良を深く知ることのできる、至福のひとときです。

登大路ホテル奈良からのアクセス

京終界隈

アクセス

京終界隈へ徒歩でいくには、近鉄奈良駅から「ひがしむき商店街」「もちいどの商店街」「しもみかど商店街」を抜けてまっすぐ南下、徒歩約20分(約1.7キロメートル)です。

京終駅舎カフェ ハテノミドリ

Webサイト

https://twitter.com/hatenomidori

住所

奈良市南京終町211 電話 070-1849-1033

アクセス

近鉄奈良駅から市内循環バス「JR奈良駅東口」下車、JR桜井線(万葉まほろば線)で1駅

情報

11:00~19:00(水曜定休)

イゲタ醤油 井上本店

住所

奈良市北京終町57 電話0742-22-2501

アクセス

近鉄奈良駅より市内循環バス「北京終町」下車、南へ徒歩約4分(約250メートル)

情報

開店時間 9:00~17:00(日祝定休、4~10月は土曜も不定休)

焼菓子 京終やまぼうし

Webサイト

https://www.instagram.com/yakigashi.kyobate.yamaboshi/

住所

奈良市北京終町17

アクセス

近鉄奈良駅より市内循環バス「北京終町」下車、西南へ徒歩約3分(約220メートル)

情報

開店時間 原則毎月第4金曜・土曜の11:00~18:00(変更の場合あり)

京終さろん(璉珹寺にて開催)

Webサイト

https://www.facebook.com/%E4%BA%AC%E7%B5%82%E3%81%95%E3%82%8D%E3%82%93-Kyobate-Salon-558117317554910/

住所

奈良市西紀寺町45 電話0742-22-4877

アクセス

近鉄奈良駅より市内循環バス「紀寺町」下車、南へ徒歩約2分(約200メートル)

情報

7月と8月を除く毎月第3木曜の19:00~21:00(ゲストの都合により変更あり)

※2019年07月現在の情報です。

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