奈良で世界の文化に触れる 天理参考館

約30万点の資料を所蔵する天理参考館

奈良で世界の文化に触れる 天理参考館

世界各国から収集した約30万点の資料を所蔵

奈良市の南に位置し、数多くの史跡が残る天理市。「天理大学附属 天理参考館」は、奈良盆地東縁を結ぶ古道「山の辺の道」と、現在の国道169号線にあたる古代の官道「上ツ道(かみつみち)」に挟まれた布留(ふる)川のほとりにあります。あたりは旧石器時代以降の遺物が数多く出土する「布留遺跡」の一部であると同時に、独特の建築様式が目を引く天理教の主要施設が建ち並ぶエリア。天理市という名前は、1954年の町村合併の折に宗教団体名を冠して付けられた全国で初めての市名だそうです。1930年に設立された天理参考館は、世界各国から収集した約30万点の資料を所蔵し、うち約3,000点を常時展示しており、県立の歴史博物館がない奈良で世界の生活文化と考古美術資料に触れることのできる貴重な博物館として広く一般に開かれています。

1階「世界の生活文化」入口には、アイヌの伝統衣装や道具が数多く展示されている

1階「世界の生活文化」入口には、アイヌの伝統衣装や道具が数多く展示されている

現地ではもう見られない貴重な資料も

今からおよそ90年前に、天理大学の前身である天理外国語学校内の「海外事情参考品室」として開かれた天理参考館。諸外国を知るためには、その国の言葉はもとより、実際に使われているものや考え方を知る必要があるという方針のもと、大小さまざまな資料が収集されました。

常設展示室は、アジアやインドから南米に及ぶ多様な文化を紹介する1階フロア、20世紀前半に移民として海外へ渡った人々の暮らしを含む日本の庶民文化や交通の歴史を紹介する2階フロア、世界の考古美術と布留遺跡や縄文土器など日本の考古資料を展示する3階フロアにわたり、5カ国語の音声ガイドが無料で貸し出されています。

存在感に圧倒される20世紀前半の台湾の廟の門扉

存在感に圧倒される20世紀前半の台湾の廟の門扉

天理参考館の収集が始まったのは20世紀前半、現地ではすでに失われてしまったものも数多く残されています。たとえば「北京の看板」エリアにある商品を模した吊り看板は、今日の北京市街でほとんど見かけられなくなった「ホアンツ」と呼ばれるユニークな看板です。また、上海のカトリック教会でつくられたツゲ製の風俗人形は、当時の生活を巧みに表現したミニチュアの逸品です。

上海で収集された風俗人形

上海で収集された風俗人形

先住民の文化に関する、深く掘り下げられた展示も見どころの一つです。日本のアイヌ、台湾のパイワン族、バリ島のバリ・アガ、あるいはグアテマラなどの民族衣装や装身具、祭礼用具はどれも鮮やかで美しく、見飽きることがありません。

バリ島の村落空間が再現されたコーナー

バリ島の村落空間が再現されたコーナー

圧巻は「精霊たちの森」コーナーにずらりと並ぶ仮面や精霊像の数々です。20世紀になるまで外界とほとんど接触のなかったパプアニューギニアのセピク河流域の各部族の仮面からは、写真では伝えきれない迫力と空気が放たれています。

迫力あるパプアニューギニアの儀礼用仮面や精霊像

迫力あるパプアニューギニアの儀礼用仮面や精霊像

2階フロアに上がると、20世紀初頭に日本からブラジルへ渡った移民のくらしを復元した実物大の開墾住居や、日本の庶民の生活用品や衣類や人形、琉球の民具などのほか、交通文化にまつわる資料などが広々と展示されています。1階から順に世界の文化をたどっていくと、日本文化との類似性やそれぞれの独自性を自然と実感できる流れになっています。

2階は日本の文化を中心に展示。1階にある北京のホアンツと似た看板も

2階は日本の文化を中心に展示。1階にある北京のホアンツと似た看板も

縄文からオリエントまで揃う考古美術資料

3階フロアには、世界の考古美術資料が整然と展示されています。大きくは、日本、朝鮮半島、中国、オリエント、そして参考館のある布留遺跡の5つに分かれ、縄文土器や飛鳥奈良時代の瓦、中国殷時代の青銅器、漢時代の陶器、騎馬民族の遺品や、紀元前22世紀のメソポタミアでつくられた像、さらにはエジプトのミイラの仮面まで展示。人類の重ねてきた歴史をダイナミックにたどることのできるフロアです。

3階「世界の考古美術」入口の日本コーナー

3階「世界の考古美術」入口の日本コーナー

オリエントのコーナーにはエジプトのほか、ササン朝ペルシャや地中海文明の資料が並ぶ

オリエントのコーナーにはエジプトのほか、ササン朝ペルシャや地中海文明の資料が並ぶ

特別展や講演会も充実

天理参考館では、常設展のほかに期間限定で公開する特別展や企画展を開催、講演会や実演、ワークショップなどイベントも充実しています。すべての展示物をしっかり見ようとするとかなりの時間がかかるので、見晴らしのいい休憩室や図書コーナーで一休みしながらじっくり見学するのがおすすめです。シルクロードの終着点である奈良で、世界の文化に触れる贅沢。奈良や日本の文化をあらたな視点で楽しむきっかけになるかもしれません。

登大路ホテル奈良からのアクセス

天理参考館

Webサイト

https://www.sankokan.jp/

住所

天理市守目堂町250 電話0743-63-8414 FAX 0743-63-7721

アクセス

・JR・近鉄天理駅より東へ徒歩約20分(約1.6キロメートル)
・無料駐車場あり(期間により規制あり)

情報

・開館時間 9:30~16:30(入館は16:00まで)
・火曜休館、ただし休日の場合と毎月25~27日、4月17~19日、7月26~8月4日は開館
 4月28日、8月13~17日、12月27~1月4日は休館

※2019年10月現在の情報です。

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