宝山寺と参道をあるく

12月16日に行われる「大鳥居大注連縄奉納」 
写真:松本純一

宝山寺と参道をあるく

100周年の生駒ケーブル

近鉄生駒駅から歩道橋を150メートルほど南西に進むと、2018年8月に開業100周年を迎えた生駒ケーブルの鳥居前駅があります。山上にある遊園地のキャラクターにちなんだ愛らしい車両が走るこのケーブルは、生駒山中腹にある宝山寺(ほうざんじ)への参拝客を運ぶために敷設された、日本初の営業用ケーブルです。「鳥居前」という駅名は、1982年まで駅の横にあった大鳥居に由来します。

2018年に開業100周年を迎えた生駒ケーブル

2018年に開業100周年を迎えた生駒ケーブル

生駒の聖天さん

鳥居前駅から宝山寺駅までは約5分。左右に灯籠の並ぶ石畳の表参道をのぼり切ったところにあるのが、「生駒の聖天(しょうてん)さん」として親しまれている宝山寺です。湛海律師(たんかいりっし)が宝山寺を開山したのは1678年ですが、境内にある奇岩「般若窟(はんにゃくつ)」は、修験道を開いた役行者(えんのぎょうじゃ)や弘法大師も修行をしたといわれ、古くから霊験あらたかな場所でした。

宝山寺の表参道

宝山寺の表参道

般若窟の前に建てられた宝山寺本堂と聖天堂拝殿

般若窟の前に建てられた宝山寺本堂と聖天堂拝殿

不動明王を本尊とする本堂横にあるのが、檜皮(ひわだ)葺きの複雑な屋根が美しい聖天堂拝殿です。祀られているのは、象の頭をした二体の神をかたどった大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)。ヒンドゥー教の神ガネーシャに起源を持つといわれる秘仏です。お寺にもかかわらず鳥居が設けられているのは、神仏両面の性格を持つ歓喜天を参拝する際に、鳥居をくぐって身を清めるという意味合いがあるのだとか。日本三大聖天の一つである生駒の聖天さんは、全国から商売繁盛や現世利益を願う人々が熱心に通うことでも知られています。

12月の大根炊きと大注連縄奉納

毎月1日と16日を「御縁日」としている宝山寺ですが、特に年末12月の御縁日は、大きな行事が続きます。まず、12月1日に行われるのが「生駒聖天厄除大根炊き」です。解毒作用があるといわれる大根は、聖天さんのシンボルであり好物です。心と体の両方から毒を出すようにと、宝山寺青年会の人たちが大鍋で炊いたたくさんの大根が、午前零時から昼頃まで参拝者にふるまわれます。

12月1日に行われる「聖天厄除大根炊き」 
写真:Photographer MIKI

12月1日に行われる「聖天厄除大根炊き」 
写真:Photographer MIKI

そして、12月16日には「大鳥居大注連縄奉納」が行われます。大鳥居に掲げられる大注連縄の重さは400キロ以上。現在、宝山寺入り口にあるこの大鳥居は、生駒ケーブル鳥居前駅の横にあった大鳥居を移設したものです。法要のあと、太鼓にあわせた「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」の掛け声とともに大注連縄が吊り上げられる様子は圧巻(ページ冒頭の写真)。正月の準備を整えた一帯は、寒い中にもすがすがしい空気に包まれます。

参道をあるく

生駒駅から続く宝山寺への参道は、最盛期には三階建ての旅館や料理屋がずらりと建ち並び、花街として大変なにぎわいだったといいます。映画『男はつらいよ』の舞台にもなった門前町には、今も風情のある街並みが残ります。矢田丘陵から遠く奈良市内まで見渡せるレストランもあり、御縁日にあわせて地元有志による「参道ご縁市」が開催されるなど、近年新たなにぎわいを生み出している宝山寺の参道。高低差が生み出す眺望や花街的な景観が、奈良町や平城宮跡などとは一味ちがった旅情をかきたててくれるエリアです。

毎年9月23日に行われるお彼岸万燈会

毎年9月23日に行われるお彼岸万燈会

着物で参道あるきを楽しむ人たち(不定期)

着物で参道あるきを楽しむ人たち(不定期)

登大路ホテル奈良からのアクセス

宝山寺

Webサイト

https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/01shaji/02tera/02west_area/hozanji/

住所

生駒市門前町1-1

アクセス

近鉄生駒駅に隣接する生駒ケーブル鳥居前駅から宝山寺駅で下車、徒歩約10分

情報

聖天厄除大根炊き
 毎年12月1日 0:00から13:00頃まで(大根がなくなり次第終了)

大鳥居大注連縄奉納
 毎年12月16日 10:00から11:00頃

※2018年10月現在の情報です。

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