まんじゅうの神様 漢國神社と林神社

毎年4月19日に行われる林神社(漢國神社内)の「饅頭まつり」

まんじゅうの神様 漢國神社と林神社

近鉄奈良駅すぐの静かな神社

近鉄奈良駅を出て西へすぐ、東西を走る大宮通りと南北に伸びるやすらぎの道の交差点「高天(たかま)」を南に入ってほどなく、建物に挟まれるように「漢國(かんごう)神社」の朱塗りの鳥居が立っています。平城京遷都より100年以上さかのぼる推古天皇元年(593年)、勅命により園神(そのかみ)を、のち養老元年(717年)に藤原不比等によって韓神(からかみ)を祀った、奈良で一番古い神社です。

参道の奥に見える門は、夜明けから日没頃まで開けられています。幹線道路沿いとは思えない静けさの漂う境内には、桃山時代に建てられた桧皮葺の美しい本殿を中心に、林(りん)神社、源九郎稲荷神社など、多くの境内社が鎮座します。また、本殿奥にある白壁となまこ壁の立派な「鎧蔵(よろいぐら)」は、大坂冬の陣で敗れた徳川家康が、当地で九死に一生を得たことから奉納したという鎧を収蔵するためのもの。鎧は現在、国立奈良博物館に委託収蔵されています。

いつもは静かな参道も「饅頭まつり」の日は朝から行列が伸びる

いつもは静かな参道も「饅頭まつり」の日は朝から行列が伸びる

まんじゅうの神様「林神社」

漢國神社本殿右手にある林神社

漢國神社本殿右手にある林神社

祭壇には菓子業者が供えた和菓子類がずらり

祭壇には菓子業者が供えた和菓子類がずらり

当日は先着順に饅頭の授与があるほか、製造実演や銘菓即売展でにぎわう

当日は先着順に饅頭の授与があるほか、製造実演や銘菓即売展でにぎわう

いつもは静かな漢國神社ですが、四季を通してさまざまな年中行事が執り行われています。特に盛大なお祭りが、毎年4月19日に境内社「林神社」の例大祭として行われる「饅頭まつり」です。14世紀半ばに中国から来日し、奈良の地に住んだ林浄因(りんじょういん)は、中国風の肉まんじゅうをアレンジして、日本で最初に餡を白皮で包んだ饅頭をつくったといわれています。「奈良饅頭」と呼ばれたこの饅頭は好評を博し、浄因は「饅頭の祖神」と呼ばれるようになりました。例大祭には、現在も老舗和菓子店を営む林家の子孫をはじめ、全国の菓子業者が集い、参道は朝からふるまい饅頭の引換券を求める一般参拝客の長い行列ができて、奈良の春の風物詩となっています。

花の季節に邪気を祓う「菖蒲祭」と「三枝祭」

毎年6月5日に行われる「鎮華菖蒲祭」

毎年6月5日に行われる「鎮華菖蒲祭」

毎年6月17日の「鎮華三枝祭」で奉納される清和四條流式庖丁は圧巻

毎年6月17日の「鎮華三枝祭」で奉納される清和四條流式庖丁は圧巻

6月には、花にまつわる2つの祭礼が執り行われます。6月5日が、鮮やかな紫が美しい菖蒲を奉納する「鎮華 菖蒲祭(はなしずめ しょうぶさい」、6月17日が、清楚な佇まいのささゆりを奉納する「鎮華 三枝祭(はなしずめ さきくさまつり)」です。三枝祭はすぐ近くの率川(いさがわ)神社でも同日に開催されますが、漢國神社の石舞台では、包丁と真魚箸(まなばし)だけを使って鯛をさばく清和四條流式庖丁が奉納されます。

文運興隆を祈る「節用集祭」

林宗二が編んだ「饅頭屋本節用集」

林宗二が編んだ「饅頭屋本節用集」

9月15日には、林浄因の子孫で16世紀の文人、林宗二(りんそうじ)が編んだ「饅頭屋本節用集(せつようしゅう)」にちなんだ「節用集祭」が行われます。節用集とは「いろは」順に並べた日用語のほかに、時節のことなどを載せて当時流行した辞書。宗二はこのほか10年の歳月をかけて源氏物語の注釈本を記し、茶道にも秀でるなど一流の文化人でした。この日は印刷出版や奈良の文化の興隆を願って、その年出版された書籍が献書され、文化講座も開催されます。

秋祭り、そして歳末の獅子舞

秋祭りの宵宮には御神楽や夜店がある

秋祭りの宵宮には御神楽や夜店がある

10月16、17日には、漢國神社例大祭(秋祭り)が行われます。16日の宵宮祭では、かわいらしい巫女たちによる御神楽が行われ、夜店も出て境内は華やいだ雰囲気に。翌日の例大祭では、神輿が出され、周辺の氏子自治会72地区を巡行するお渡りが行われます。

そして、漢國神社の行事として近年注目を集めているのが、獅子舞です。12月29日、漢國神社韓園(からその)講による獅子舞を中心に、プロの曲芸師による傘まわしなど十数演目が次々に行われ、境内は笑いと活気に満ちてゆきます。

そのほかにも、さまざまな祭典が行われている漢國神社。ひっそりとした普段の日にお参りするのもよし、お祭りの日に合わせてお参りするのもよし。奈良の中心地にあり、1400年以上の歴史を持つ由緒ある神社でありながら、まるで氏神さまのようなあたたかさで迎えてくれる神社です。

観覧者で埋め尽くされる12月29日の「獅子神楽奉納」

観覧者で埋め尽くされる12月29日の「獅子神楽奉納」

登大路ホテル奈良からのアクセス

漢國神社

Webサイト

http://www.kangou-jinja.jp/index.html

住所

奈良市漢國町2番地 電話0742-22-0612

アクセス

ホテル前の国道369号線を西へ350メートル、「高天」交差点を南へ80メートル

情報

・開門時間6:00~18:00
・駐車場4台

【主な年中行事】

04月19日(金)
饅頭まつり
05月 5日(日)
八乙女まつり
06月 5日(水)
鎮華 菖蒲祭
06月17日(月)
鎮華 三枝祭
09月15日(日)
節用集まつり
10月16日(水)〜10月17日(木)
例大祭(16日宵宮、17日お渡り)
12月29日(日)
獅子神楽奉納

※2019年03月現在の情報です。

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